9月29日(金)〜10月1 日(日)に豊橋の開発ビル5Fにて相模友士郎+佐藤健大郎によるダンス作品『ナビゲーションズ』が上演されます。また、今回の上演にあたって相模友士郎、佐藤健大郎の二人は「豊橋アーティストインレジデンス2017」のレジデントアーティストとして、9月20日から穂の国とよはし芸術劇場PLATにて滞在制作を行いました。豊橋公演に先駆け、二人に制作・吉川からの質問に答えていただきました


〔質問1〕ご出身はどちらですか?また、現在どこにお住まいですか?
子供の頃、興味があったことは何ですか?今、興味があることは何ですか?


 出身地は兵庫県姫路市です。現在は京都市内の南禅寺近くに住んでいます。
 子供の頃は両親が共働きでひとりっ子だったからか1人遊びばかりしていた記憶があります。主に粘土遊びに力を入れていました。
 今興味があることは漠然としてますが、「教育とは?」です。


 福井県福井市出身です。東京〜京都を経由して現在、福井市在住です。
 父親の影響で小学1年から剣道をやっていました。大学まで剣道をやってゆくゆくは警察官に、というはっきりした目標・イメージがありましたが高校1年の時に先輩にビンタされて辞めました。
 継続して写真に興味があります。写真家の中平卓馬が書いた写真論はダンス作品を作り始めるきっかけになっています。


〔質問2〕舞台(相模さんは演劇、佐藤さんはダンス)との出会いを教えてください。
また、これまでどのような作品を(どのような想いで)創ってこられましたか?


 ダンスとの出会いは、大学在学中に絵を描いていたんですけど、展示会の時に作品(絵画)が展示されていてお客さんがそれをみていて、その間本人がいない状況に違和感があり、本人が作品になるような事はないか?と思って身体表現に興味を持ち始め、その時友人がダムタイプや土方巽の映像を見せてくれて舞台にぐいぐいのめり込んでいきました。
 2010年に作った「ミューザー」という作品が音楽、音そのものについて考察したもので、それがきっかけになったと思います。作品はいろんなことを教えてくれます。振り返った時にいろんな意味がでてくるように思います。これ以上良くなることも悪くなることもない完成されたものもあれば、問題が残り次につながるような作品もあります。なので自分にとっては作品は経過の1つに思えます。

 大学は映像の専攻でしたが、舞台も学べる環境にあり、それまで舞台に関心は無かったのですが、授業で接してる内に映像よりも舞台に関心が移ってゆきました。身体という最も身近で不可思議なものをメディアとして何をするか、というシンプルなところに最も興味を惹かれたのだと思います。
 舞台は演劇とダンスの両方を行き来しながら創作しています。
 演劇は舞台経験の無い人と時間をかけて作ってゆくことが多いです。70歳〜90歳の方たちとだったり、大学生とだったり、あるコミュニティの中に入り込んでお話したりしながら作品作りをしています。
 ダンスはもちろんダンサーと一緒に作品作りをしますが、そもそもダンサーという人たちを良く魅せるという事には関心がなく(そもそもダンサーは良いという前提があるので)、観客の目を振り付ける、という事がダンス作品における、僕の仕事です。
 演劇にしろダンスにしろ自分が何を作りたいかということ以上に目の前にいる人とコミュニケーションをとり、「あなた」を通して生きるということが出来ればと考えています。


〔質問3〕お互いの第一印象を教えてください(人柄・作品共に)。
『ナビゲーションズ』の初演は2014年ですが、作品を一緒に創ることになった経緯を教えてください。また、共同制作を経てお互いの印象は変わりましたか?

 10年位前に、あるダンスのプロジェクトがあり僕はダンサーで彼は演出助手で参加していました。その時の彼は演出助手という役割もあったのか、本を開いてはたまにチラッとコメントしたり感想を言ったりしている。無口なインテリ野郎というイメージでした。1年以上そのプロジェクトは続いたのですがあまり話をすることもなく最後の打ち上げの日にたくさん話したの覚えています。
 彼の冷静すぎる喋り方や感想がとても興味深く痛快で腹が痙攣するほど笑いました。
 相模くんの「先制のイメージ」と言う作品を見て、舞台というものが演者と見る者の関係によって成り立っているということ、また演出家と演者の関係がクリアに現れた素晴らしい舞台で、そしてダンサーが素晴らしかった。
 その後たまにお茶したりしているうちに何か一緒にやろうかみたいな話になって目的もなくクリエーションを始めたのがナビゲーションズのきっかけです。
 インテリ野郎という印象は無くなりました。

 佐藤さんとは『恋する虜』という2006年から始まったダンス・プロジェクトで初めてお会いしました。大学を卒業したばかりで、演出助手として僕は関わっていましたが、佐藤さんは「ヤったんぞ、コラ。あ?」とかい言いそうな怖い印象でしたが、打ち上げで改めてお話して、腹がちぎれるくらい笑ったのが印象に残っています。
 いくつか佐藤さんが振り付けした作品を拝見しましたが、まったく理解が出来ない、という印象を受けます。それに毎回感動します。色々なものが輪郭を得ないまま出力されているような不思議な魅力があり、そこを分かりたいとも思います。
 野田まどかさんというダンサーと『先制のイメージ』という作品を作ったのですが、野田さんが佐藤さんの奥さんだったということもあり、『恋する虜』以来、色々と会ってお話する機会が増えました。その時に「振付」というものにフォーカスした作品を作りたいというお互いの興味が重なり、公演場所や日にちも決めずに『ナビゲーションズ』のクリエーションを始めました。
 佐藤さんの印象はあまり変わらないです。



〔質問4〕『ナビゲーションズ』は2014年の福井公演を皮切りに、横浜・京都・広島で再演されていますね。同じ作品を繰り返し上演する動機やその中での発見があれば教えてください。また、豊橋公演は初の滞在制作となります。期待していることがあれば教えてください。

 1回で終わらすのはもったいないというのもありますし、同じ作品をやり続けていることによって見えてくるものもたくさんあると思っています。発見は絶えずあります。しかしそれはやり続けているからこそ言えるものです。タイトルを変えて同じようなことをやるよりもやっている中でテーマに対して向かう体やイメージ、思考が深まっていくことの方が重要だと考えています。
 レジデンスの最中に豊橋市民の方とのワークショップもありますので、その中でダンスや振り付けの関しての考えがより複雑に多様に考えれる場になればと思っていますし、新作へのモチベーションになるかもしれません。

 作品の性質でもありますが、毎回、同じ上演にならないということ。あとは、佐藤さんと一緒にクリエーションするのが楽しいという単純な動機も大きいです。新しい作品も、と二人で話をしたりもしますが『ナビゲーションズ』の中で発見することがまだまだあります。初演から少しづつ変化している部分もありますし、深まってきている部分もあります。初演はストイックな作品だと思っていましたが、再演を重ねる内にバカバカしく、笑える作品だなと感じるようになりました。なので、余り構えずリラックスして観てもらいたい作品だと思っています。
 愛知大学でデザインの授業を受け持っていることもあり、豊橋へは良く来ていますが、PLATと関わるのは初めてです。ロビーで高校生が勉強していたりと開かれた場所であるという印象があるので豊橋公演へ向けて、クリエーションに集中するだけでなく、色々な人と出会い、良い意味で散漫で余白のある制作期間になればと思います。

(質問/吉川和代)


相模友士郎/Yujiro Sagami(構成・演出) 1982年福井生まれ。演出家。京都在住。2004年から舞台制作を始め、2009年に伊丹に住む70歳以上の市民との共同制作舞台『ドラマソロジー/DRAMATHOLOGY』を発表し、翌年フェスティバル / トーキョー10に正式招聘される。2012年に『天使論』をTPAM in YOKOHAMA2012にて発表。『天使論』は各地で再演され、2015年、TPAM in YOKOHAMA 2015にてタイのダンサー(Kornkarn Rungsawang from Picket Klunchun Dance Company)とのコラボレーション作品として再演。その他の作品に『中平卓馬/見続ける涯に火が…』(2011) 、『先制のイメージ』(2012)、『それはかつてあった』(2013)、『ナビゲーションズ』(2014) など。最新作はからだと意識の関係を空間にトレースする『リアクション』(2015)、信州大学の学生と共同制作した演劇作品『スーパーインポーズ』(2016)。http://www.sagami-endo.com/

佐藤健大郎/Kentaro Sato(出演) |1978年生まれ。兵庫県出身、京都市在住。ダンサー、振付家。大学卒業後ダンスを始める。 2004年迄ヤザキタケシ+A.D.Cに参加。フリーになり、砂連尾理,山田せつ子、日野晃氏の作品に出演、協同作業する。 ソロ作品「犬」(2007)「ミューザー」(2010) 。 森川弘和とのduet「conductor」(2012) 、David Wampachとの「FIRST SHOW」(2013) がある。 女性トリオ『筒状の白いsara」(2014) を発表する。 また、7人のダンサーが集まり90分で一つの作品を立ち上げるプロセスを公開する、「東山ダンスヤード」(2013) を企画。2005年から東山青少年活動センターにて『ココロからだンスWS』、2010年から身障者を対象とした『湖北身体WS』のナビゲーターを務めている。


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