>>>>>>以下は09年、初演(兵庫・アイホール)の情報です

地域とつくる舞台シリーズ/エルダー世代×相模友士郎
地域の人々とアーティストが一緒に、舞台作品を創作します。
DRAMATHOLOGY/ドラマソロジー


舞台と映画のジャンルを横断的に活動し、今後が期待されるアーティスト・相模友士郎が、昭和15年頃までに生まれた・エルダー(elder)世代の人々と協同し、対話を中心としたワークショップ経て演劇作品を上演します。


『DRAMATHOLOGY』というタイトルは「DRAMA/劇」と「ANTHOLOGY/選集」とを掛け合わせた造語だ。
今回の出演者は70歳を超えた「エルダー世代」と呼ばれる人たちである。彼らとの共同作業は主に自分自身について語ってもらうことを中心に進めてきた。彼らによって語られる記憶は「劇」というにはあまりにささやかな、「物語」というにはあまりに未完な断片の集積のようなものだ。しかしながら、語り出されたものではなく、語り出そうとするその身体に作品の主軸を置こうとしたとき、記憶装置としての身体ともいうべき彼らの現在性がはっきりとした輪郭を描き始めたように感じたのだった。個人史としての「DRAMA」とは語り出された過去の物語の中にではなく、語り出そうとするその現在性の中にあるのだとすれば70歳を超えた彼らの身体はまさに『DRAMATHOLOGY』というべき個人史の総体だと言えはしないだろうか。

相模友士郎


構成・演出:相模友士郎 映像:遠藤幹大 音響:齋藤学 照明:高原文江 舞台監督:西田聖
出演:増田美佳 足立一子 足立みち子 飯田茂昭 相馬佐紀子 中川美代子 藤井君子 三木幸子


日時:2009年7月4日(土)19:00/5日(日)15:00
*開場は開演の30分前 *開演の1時間前より受付開始。入場整理券を発行します。
*両日とも、公演終了後、ポスト・パフォーマンス・トークを行います。
ポスト・パフォーマンス・トークゲスト
4日=細馬宏通(滋賀県立大学人間文化学部教授)、5日=相馬千秋(フェスティバル/トーキョー プログラム・ディレクター)

会場:アイホール(伊丹市立演劇ホール)

料金:前売1500円/当日1800円[チケット発売中]

前売取扱
◯ JCDNダンスリザーブ http://dance.jcdn.org/(オンラインチケット予約サービス)
◯アイホール 072-782-2000 info@aihall.com

お問い合せ
アイホール(伊丹市立演劇ホール) 〒664-0846 兵庫県伊丹市伊丹2-4-1
(JR伊丹駅前の黒いガラス張りの建物です。火曜日はお休みです。)

電話 072-782-2000 ファックス 072-782-8880 メール info@aihall.com ホームページ http://www.aihall.com
ディレクター=小倉由佳子 担当スタッフ=香井亜希子、宮本理絵

フライヤー


地域とつくる舞台シリーズについて・・・
このシリーズは、アイホールの2008年度からの新しい企画で、アーティストが、地域の人々と一緒に舞台作品を創作するプロジェクトです。劇場と舞台芸術を核とした地域コミュニティ形成の第一歩となることを目指しています。

【相模友士郎プロフィール】
さがみゆうじろう。1982年生まれ。京都造形芸術大学 映像・舞台芸術学科卒。00年より映画製作を始め、国内だけでなく、フランス・ドイツ・北京等で作品を発表。04年より舞台作品の創作を開始し、京都造形芸術大学在学中に発表した映画『穴る』、演劇作品『SM』が共に同大学卒業制作で最優秀賞に選ばれた。映画と舞台のジャンルで横断的に活動し、双方向的な視点から身体や劇を捉え直そうとしている。

特別にドラマティックな経験をしていなくても、誰でもひとりひとりかけがえのない記憶を持っている。そしてその人だけが知っている出来事について語ることができる。ましてや70年以上も齢を重ねてきた人々ならば、なおのこと-------。だが、本当にそうだろうか。
「この私」しか語りえないはずの固有の記憶は、実際に口に出して語り始めたとたんに、誰もが既に知っている物語へと絡めとられていく。自分は何歳で、どこで何を体験し、どのように生きてきたか。それを語ることによって取り逃がしてしまうものこそ、他の誰でもない「この私」であり、物語に還元できない固有性としての「歴史」なのだ。誰もが「自分のことのように」共感する物語のなかに「この私」は決して存在していない。
ところで一方、誰もが知っている物語を通して、「この私」や「この物」を浮かび上がらせる仕掛けのひとつを、われわれは「演劇」と呼んでいる。いま演劇が困難なのは、もはや物語に依拠することが、しかしまた物語を忌避することも、「このもの」が「そこにある」ことへの驚きを喚起しなくなっているからだろう。映像作品を手がけつつ、演劇らしい演劇を疑うことから出発した演出家、相模友士郎の「舞台に立つ身体」への執着は、おそらく一貫してその点に関わっている。「エルダー世代」との共同作業は、幾重にも折り返された虚構と現実の錯綜へと観客を誘うための倒錯的なプロセスであり、言葉と身体の編み目からその目論みそのものさえ覆すような「歴史」を掘り起こす試みであるにちがいない。

八角聡仁(批評家、近畿大学教授)


平成21年度文化庁芸術拠点形成事業
助成:財団法人大阪コミュニティ財団2009年度助成事業、西日本SHDパートナーズ倶楽部地域活性化支援基金(関西地域会)
主催:伊丹市・財団法人伊丹市文化振興財団